これまでの研究活動
研究代表者のこれまでの研究活動
本研究は下記の②のメンバーを核とし、海外共同研究協力者を加えて、軍事的学知を新たな視座から考察するものです。本研究に関する研究代表者のこれまでの研究活動は、以下の通りです。
① 平成23年度~平成27年度科学研究費基盤研究(A)「「書物・出版と社会変容」研究の深化と一般化のために」(課題番号23242040)(研究代表者:若尾政希)研究分担者
山鹿流兵学の祖、山鹿素行の人的ネットワークと、その軍事思想の流通・受容を研究し、関連論文を5本執筆しました。人的ネットワークと書物の流通を研究する意義を認識しました。研究業績の詳細はKAKENから御覧下さい。
② 平成26年度~平成28年度科学研究費基盤研究(B)「軍事史的観点からみた18~19世紀における名誉・忠誠・愛国心の比較研究」(課題番号26284089)(研究代表者:谷口眞子)
2015年7月、ピエール・セルナ氏(パリ第1パンテオン=ソルボンヌ大学/フランス革命史研究所所長)氏を招聘し、講演会「共和国は未完成」と国際シンポジウム「革命と軍隊―明治維新、辛亥革命、フランス革命の比較からみえてくるもの―」を開催しました。また2016年7月には、ギュルテキン・ユルドゥズ氏(イスタンブール大学)による講演会「無名の兵士:近代トルコ(1792~1918)における軍事的エトスと市民権の形成」と国際シンポジウム「軍事的エトスの近代史」を開催しました。ユルドゥズ氏は直前にトルコで起きた軍事クーデターのため、来日できませんでしたが、すべての原稿がそろっていたので、氏の不在のまま実施しました。
本科研の成果の一部は、2017年5月の第67回日本西洋史学会大会小シンポジウム「忠誠のゆくえ―近代移行期における軍事的エトスの比較史―」で発表しました。この科研を通じて日本史・東洋史・西洋史の近世・近代史研究者が、共同で議論できる地盤を作りました。研究業績の詳細はKAKENから御覧下さい。
③ 平成30年度、早稲田大学特定課題研究助成費(特定課題B)「越境する軍事史―19世紀を中心とした人と学知の交流」(課題番号2018B-045)(研究代表者:谷口眞子)
2018年10月にフランスのリール大学で開催された国際シンポジウム「レオン・ド・ロニーの時代と日欧間の知の交流-漢籍、軍制・法制の制度知を中心に」(協賛:早稲田大学)で、研究発表「武力行使権のゆくえ-軍隊・警察の創設と身分制社会の変容」を行いました。
ドイツ史・日本史研究者のティノ・シェルツ氏(ハレ大学)を招聘し、2018年11月に「近世近代移行期における身分制社会の変容―貴族研究の視点から―」と題する研究集会を、またミニ・シンポジウム「日独軍事思想の比較――クラウゼヴィッツと石原莞爾―」を開催し、日独比較史・国際日本学の研究の一端としました。
フランス史研究者のカトリーヌ・ドニ氏(リール大学)を招聘し、2019年1月に「19世紀フランスの軍隊と社会」と題する研究集会を、また日仏会館・フランス国立日本研究所の共催を得て、講演会「18世紀のフランス植民地における帝国警察の変容?―フランス領フランス島(モーリシャス)のポール=ルイ警察署、1766年~1790年―」を日仏会館で開催しました。
これらの研究活動を通じて日本史、フランス史、ドイツ史、オスマン史などの専門家と討論することにより、比較史的な視座を深めました。
④ 平成26年度~平成30年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「近代日本の人文学と東アジア文化圏―東アジアにおける人文学の危機と再生」(研究代表者・李成市)研究分担者
編者の一人として『日本「文」学史 第二冊 「文」と人びと―継承と断絶』(勉誠出版、2017年)を出版しました。また、平成30年10月3日に「サムライ・イメージの光と影―国際日本学の観点から」(ワークショップと国際シンポジウム)を開催しました。5年間の研究成果は、谷口眞子/デュスッド・オディール/松永美穂編『サムライ・イメージの光と影―国際日本学の観点から―』(2019年)にまとめました。近代的学問としての歴史学を意識し、近世の多様な学知のあり方に着目するきっかけとなりました。
⑤ 平成30年度~平成34年度科学研究費基盤研究(A)「岡松参太郎を起点とする帝国と植民地における法実務と学知の交錯」(課題番号18H03618)(研究代表者:浅古弘)研究分担者
Darryl E. Flaherty, “Public Law, Private Practice: Politics, Profit, and the Legal Profession in Nineteenth-Century Japan” の翻訳書、浅古弘監訳『近代法の形成と実践―19世紀日本における在野法曹の世界―』(成文堂、2019年)第1章「近世の法実務:対立の超克と徳川法の実態 1615年~1868年」の翻訳を担当し、19世紀の日本法を連続的にみる着想を得ました。
「軍隊と社会の歴史」研究会
本科研のメンバーは「軍隊と社会の歴史」研究会にも属しています。この研究会のこれまでの活動については、のちほど紹介します。